クリエイティブメディア分野

教育・学習支援に関する研究、地域の観光資源を生かした情報発信に関する研究

  • 斎藤 一

    教授

    Hajime Saito

    E-mail:

    hajime@do-johodai.ac.jp

    キーワード

    教育・学習支援,観光情報学,ゲーミフィケーション

研究を始めるために必要な知識・能力

本研究室では、主に(1)教育・学習支援、(2)観光情報学、(3)シリアスゲーム・ゲーミフィケーションの3つの分野で研究を行っています。
(1) 教育や学習支援のための技術や理論に関する基礎知識が必要です。特に、インストラクショナルデザインや学習支援技術に対する理解が求められます。
(2) 地域の観光資源を活用した情報発信に関する研究を行っています。この分野では、観光に関する情報処理や分析、地域資源の理解が求められます。
(3) 単にゲームを開発するのではなく、それらを社会課題の解決にどのように適用するかを客観的に俯瞰して考察する能力が求められます。
これらの分野全てに共通して、Webやモバイルデバイス向けのコンテンツやアプリケーションを制作するためのプログラミングスキルやデザインの基礎知識が必要です。また、最新の技術を活用するために、人工知能や知識処理に関する基本的な理解も求められます。

この研究で身に付く能力

教育工学や観光情報学に基づいて、Webやモバイル向けのコンテンツやアプリケーションを企画し、デザインから実装、評価までを行う能力が身につきます。また、教育や観光に関連する分野で、最新の研究や技術動向を調査し、それを応用する能力が養われます。本研究室の研究の多くは、学内外の研究室や企業、地域団体とのコラボレーションで行われるため、コミュニケーション能力やチームワークのスキルも向上します。これにより、異なる分野の専門家と協力しながらプロジェクトを進める力や、実社会で求められる協調性や交渉力も身につけることができます。さらに、研究成果を発表する機会も多く、プレゼンテーション能力や論理的思考力の強化も期待できます。

研究内容

本研究室では、主に(1)教育・学習支援、(2)観光情報学、(3)シリアスゲーム・ゲーミフィケーションの3つの分野で研究を行っています。それぞれの分野で学外でも高い評価を受けた研究を紹介します。

(1)経験学習サイクルを意識したSAのための個別指導支援サイトの試作[1]
近年、大学教育において受動的な学習を望む学生が増えており、それを支援するStudent Assistant(SA)の役割がますます重要になっています。SAは、学生を単に正解に導くのではなく、主体的な学びへと導くアドバイスができることが求められます。本研究では、経験学習サイクルに着目し、学生の質問とそれに対するSAのアドバイスを集約し、サイクルごとにタグ付けして、学生の理解状況に合わせたアドバイスを迅速に提供できる個別指導支援サイトを試作します。本研究は、情報処理学会第84回全国大会で奨励賞を受賞しました。

(2)AIデジタル顔はめパネルを用いた観光地プロモーションイベントの実施と評価[2]
日本の旅行消費額の約8割は国内旅行が占めており、国内観光地のプロモーションは依然として重要です。一方で、情報過多による「旅行計画疲れ」が問題となっており、従来のインターネット情報提供とは異なる新たなアプローチが求められています。そこで本研究では、新たな観光プロモーションツールとして「AIデジタル顔はめパネル」を提案します。このツールは、ユーザーの顔映像を取得、属性を推定し、それに合わせた観光地の映像を顔画像と合成して投影します。本研究は、観光情報学会第18回研究発表会において,研究発表会優秀賞を受賞しました。

(3)プロパティ交換法における学習課題とカードゲームの組み合わせに関する研究[3]
近年、学習用カードゲームが注目されており、プロパティ交換法をはじめとするカードゲームを基にした学習用ゲームの作成方法もいくつか論じられています。しかし、学習者の嗜好に合わない学習用ゲームでは、ゲームを学習に取り入れる効果は薄れてしまいます。本研究では、プロパティ交換法で作成された学習用ゲームの中から、学習者の嗜好に合った学習課題とカードゲームの組み合わせを提示するために、協調フィルタリングを用いた推薦システムの設計について検討します。本研究は、第15回複雑系マイクロシンポジウムにおいて,優秀プレゼンテーション賞を受賞しました。

参考文献
[1] 亀岡世莉子,杉澤愛美,斎藤 一,経験学習サイクルを意識したSAのための個別指導支援サイトの試作,情報処理学会第 84 回全国大会講演論文集,1ZK-05,pp.4-779-780,2022.
[2] 杉澤愛美,斎藤一,長尾光悦,安田光孝,向田茂,AIデジタル顔はめパネルを用いた観光地プロモーションイベントの実施と評価,観光情報学会第18回研究発表会講演論文集,pp.31-34, 2018.
[3] 宋爽,斎藤一,向田茂,川村秀憲,プロパティ交換法における学習課題とカードゲームの組み合わせに関する研究,第15回複雑系マイクロシンポジウム講演論文集,pp.15-20, 2016.

主な研究業績

教育学習支援や観光情報学に関する多くの研究成果を上げています。代表的な業績としては、「構造モデリングと概念地図を用いた概念形成支援法とそのシステムの試作」(電子情報通信学会論文誌、 2001)、「Determining tourist satisfaction from travel reviews」( Information Technology & Tourism、2019)、「AI デジタル顔はめパネルを用いた観光プロモーションの提案」(観光と情報、 2021)などがあります。これらの多くは、学内外の複数の研究室とのコラボレーションで研究を進めています。また、地域や企業と連携して数多くのプロジェクトを実施し、実践的な成果を上げています。

研究室の指導方針

研究テーマは、教員が一方的に与えるのではなく、学生自身の興味を掘り下げながら、相談を重ねて決めていきます。また、主体的な学びを重視した教育を行い、各学生が自分のペースで研究を進められる環境を提供しています。定期的なディスカッションやフィードバックを通じて研究の進捗を確認し、必要に応じて方向性を修正します。これにより、学生は自ら問題を発見し、解決策を見つける力を養います。さらに、異なる分野の知識を組み合わせた多角的なアプローチを奨励し、独創的で実践的な研究成果を生み出すことを目指しています。

研究室HP

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