システムデザイン分野

ICTによる観光振興に関する研究

  • 長尾 光悦

    教授

    Mitsuyoshi Nagao

    E-mail:

    nagao@do-johodai.ac.jp

    キーワード

    観光情報学、人工知能、ソーシャルリスニング、AR

研究を始めるために必要な知識・能力

データ分析と処理能力,システム開発やアプリ開発のためのプログラミングスキル,デジタルマーケティングの知識,クリエイティブな思考と問題解決能力,観光学の基礎知識,スマート観光に関する知識,ビッグデータと機械学習の応用,ユーザー体験(UX)デザインの知識が求められます.

この研究で身に付く能力

本研究を実施することにより以下の知識・スキルが身につきます.
・観光産業の動向,旅行者行動の分析,地域経済への影響など,観光学に関する深い知識
・観光資源の開発や観光地のブランド戦略,マーケティング手法に関する知識
・観光のデジタル化や,ICTを活用した観光サービスの最新技術についての専門知識
・IoT,AI,ビッグデータ解析などの技術が観光分野での応用に関する知識
・SNSマーケティング,デジタル広告の戦略設計と実施に関する専門的な知識
・オンラインでの観光プロモーション活動を効果的に行うためのツールや手法に関する知識観光が地域経済や環境に与える影響,持続可能な観光振興のための理論と実践方法に関する専門知識
・観光客にとって使いやすいデジタルプラットフォームをデザインするためのUX/UI設計の知識
・観光関連データを分析するためのデータサイエンスのスキルや,予測分析を行うための機械学習モデルの構築スキル
・ウェブアプリケーションやモバイルアプリの開発スキル
・観光分野における課題解決のために,ICTを活用したソリューションを開発するスキル

研究内容

スマートフォンアプリにおける位置データ及びソーシャルビッグデータに基づくマーケティング情報の抽出
本研究では,スマートフォンアプリにより取得される位置データとソーシャルビッグデータの組み合わせによるマーケティング情報の抽出方法を提案する.ここでは,観光向けアプリの1つである「たびろくムービーズ」に付帯する位置情報記録機能により取得された位置データと代表的なSNSの1つであるTwitterにおける位置情報付きツイートデータ,更に,写真共有SNSであるInstagramにおける投稿写真データを組み合わせることにより,アプリのための有効なマーケティング情報の抽出を実現する.

図 手法の概要

図 抽出滞在エリア(左),ツイートエリア(中央),撮影エリア(右)

図 マッチング結果

AIデジタル顔はめパネルを用いた観光プロモーションの提案
日本の旅行消費額の約8割は国内旅行が占めており,国内観光地のプロモーションは,引き続き重要である.一方,情報過多による旅行者の「旅行計画疲れ」が問題となっており,単なるインターネットでの情報提供とは異なる,観光地をプロモーションするための新たなアプローチが求められている.そこで本研究では,新たな観光プロモーションツールとして『AIデジタル顔はめパネル』を提案する.提案ツールは,顔をはめたユーザの顔の映像を取得し,AIによって属性(性別と年齢)を推定し,その属性に合わせた観光地の映像を,ユーザの顔画像や属性情報と合成して投影する.

図 『AIデジタル顔はめパネル』の機材構成

図 利用の流れ

主な研究業績

ICTによる観光振興に関する研究において多くの研究成果を挙げています.代表的な業績としては,「AIデジタル顔はめパネルを用いた観光プロモーションの提案」,観光情報学会誌(2020),「スマートフォンアプリにおける位置データ及びソーシャルビックデータに基づくマーケティング情報の抽出」,観光情報学会誌(2019),「唾液アミラーゼを利用した温泉入浴によるストレス軽減効果の検証」,観光情報学会誌(2014),"観光地に対する風評被害の変遷と対応分析",人工知能学会誌(2011)などがあります.これらの研究は,国内外の学会で多数発表され.企業との共同プロジェクトも多く手掛け,実践的な成果を上げています.

研究室の指導方針

研究室では,学生一人ひとりの自主性を尊重し,学生の主体的能力を育成する指導を行っています.研究テーマの選定から始まり,主体的に研究を進捗させてもらいます.更に,ゼミナールを通じて,研究の進捗状況を確認し,問題点の解決を行います.加えて,学会発表や論文投稿を行い,研究成果を広く発信することで,広い視野と高度な専門性を習得します.

一覧へ戻る