クリエイティブメディア分野
向田 茂
教授
Shigeru Mukaida
E-mail:
mukaida@do-johodai.ac.jp
キーワード
顔、画像処理、印象操作、印象知覚、メディアアート、プロジェクションマッピング
目で見た情報を扱い、新たな表現へとつなげることへの興味関心を持っていることと、常に未知のことへの好奇心と探究心を持ち、調べる意欲と行動力を持ち合わせていることが必要です。画像処理を含むプログラミングや評価実験、分析、作品制作と多岐にわたる取り組みに積極的に取り組める人を歓迎します。
本研究室では、目に見える情報、すなわち視覚情報を操作し、見る人へさまざまな印象やメッセージを伝える技術の開発を目指します。一連の作業を通じ、画像処理、認知科学における評価実験手法、データ分析、ヒューマンインタフェース、メディアアートの知識と技術を身に付けることを目標とします。
1.顔画像処理(平均顔)
すべての人にひとつずつ顔があります。それぞれ唯一無二の顔ですが、人種や年齢、性別などの共通した属性で共通の特徴もあるでしょう。たとえば、顔写真を見ただけで、「きっと日本人だ」や「20代だなあ」などと思うことはよくあるのではないでしょうか。では、どうして多くの人が同じように感じるのでしょうか。そういった疑問に画像処理技術を使って取り組んでいます。たとえば、複数の顔写真を重ね合わせて平均的な顔写真を作成する平均顔が広く顔研究に利用されています。しかし、平均顔の作成に用いられる顔の数が増えるほど、画質がぼやけていき、シミやシワなどの年齢情報が消失してしまいます。そこで、何枚ぐらいの顔写真を用いればよいかについて心理学的実験により検討しています。その結果、おおむね30枚程度の顔写真を使えばよいことがわかりました。
日本人の平均顔(左から30代女性、30代男性、40代男性)
2.顔画像処理(標準顔)
平均顔は集団の特徴を具現化した顔画像です。平均顔の生成過程では、それぞれの人が共通に持つ特徴的なパーツ(眉や目、口など)が重なるように画像を変形させて重ね合わせます。しかし、シミやシワなど、人によって有無の異なる情報は特徴点がなく、重ね合わせるときに情報が失われます。特に、シミやシワが消えると年齢印象は大きく変わります。そこで、平均顔にシミやシワの情報を付加した標準顔を提案しています。
日本人60代男性の平均顔(左)と標準顔(右)
3.プロジェクションマッピングを用いた立体ぬりえツールEIRUNの開発
現実空間の立体物に映像を投影するプロジェクションマッピングに、ユーザが参加できる要素を加え、立体物にぬりえを行うことのできるツールであるEIRUNを開発しました。
立体ぬりえツール:EIRUN
1. S.Taguchi, E.Kakizawa, M.Yamashita, R.Nakamura, T.Himeno, K.Sagara, S.Mukaida: "Should all facial wrinkles be improved? -Study on the relationship between wrinkle areas and interpersonal impressions", 33rd IFSCC Congress, PRB-132, 2023
2. 向田茂、加藤隆 "平均顔の代表性と顔画像の関係:年齢印象を例に", 日本顔学会誌, Vol.15,No.2,pp.71-79, 2015
3. 熊谷賢二, 向田茂,隼田尚彦, 斎藤一, 安田光孝, "奥行き情報を用いたプロジェクションマッピングぬり絵ツールの開発", ヒューマンインタフェースシンポジウム2014, pp.335-338, 2014
本研究室では、作品制作や画像処理技術などの目に見える成果物とそれらの評価を到達目標としています。社会的な背景、技術的な背景を理解し、個々の課題に根気よく取り組む力を育むことを大切にしています。研究開発や制作の成果は、地域等で公開(実験)し、その結果を国内外の会議(学会)で発表します。