システムデザイン分野
柿並 義宏
教授
Yoshihiro Kakinami
キーワード
データサイエンス、地球物理学、動物行動学
自ら,研究に必要なデータを収集することがあるので,幅広い知識が要求されます.ただし,初めから知識を持っている人はいないので,何事にも挑戦し,自ら知識を広げる積極性が求められます.データを分析するために数学・物理の知識が必要ですが,高度なものは研究しながら理解できればよいので,高校数学・物理をしっかり理解していることが重要です. 必要な情報の多くは英語で書かれているため,英語を避けず,挑戦する強い意思が必要です.かなりの部分を学生の皆さんに任せるので,自制心が求められます.
データを得るために,大学以外の外部の人と関わる可能性があり,その過程で,社会性が身につきます.他大学の先生とも積極的に共同研究を実施しています.研究発表をするために,自らの考えをまとめ,分かりやすく人に説明するプレゼンテーション能力が身につきます.データ分析をコンピュータで行うので,数学的思考やプログラミング能力が身につきます.IoT機器の開発,Linuxの利用など,研究対象を理解のために様々なアプローチをとるため,コンピュータ全般の知識が身につきます.
1. GPSを用いた熱圏・電離圏の研究
GPSの電波利用して,高度300 km付近の大気(熱圏・電離圏)の研究をしています.特に,地震や火山噴火が起こった際に放出される超低周波音(人の耳に聞こえない20 Hz以下の可聴下音)が熱圏・電離圏まで届いた様子をGPSデータを使って観測できることを利用し,地震・火山噴火に伴う大気擾乱を調べています(図1).
2. 超低周波音を用いた雪崩検知の研究
超低周波音は雪崩でも発生します.雪崩を簡単に検知する方法として,超低周波音を利用する方法を研究しています.我々の観測で,北海道・尻別岳の雪崩で超低周波音が発生していることを発見しました.
3. 超低周波音でのゾウのコミュニケーションの研究
ゾウも超低周波音を使ってコミュニケーションしていることが知られています.札幌市円山動物園で,ゾウが発する超低周波音を計測し,ゾウがどのようにコミュニケーションしているか,調べています.
図1 2014年能登半島沖地震で発生した超低周波音が高度300kmに届き,伝わる様子をGNSS電波で調べた結果.黄色と濃い青の円弧が伝わっている超低周波音の証拠.
1. Yasuhiro Nishikawa, Masa-yuki Yamamoto, Kensuke Nakajima, Islam Hamama, Hiroaki Saito, Yoshihiro Kakinami, Masumi Yamada, Tung-Cheng Ho (2022), Observation and Simulation of Atmospheric Gravity Waves Exciting Subsequent Tsunami after Tonga Explosion Event, Scientific Reports, 22354, https://doi.org/10.1038/s41598-022-25854-3.
2. Kakinami, Yoshihiro, Hiroaki Saito, Tetsuo Yamamoto, Chia-Hung Chen, Masa-yuki Yamamoto, Kensuke Nakajima, Jann-Yenq Liu, and Shigeto Watanabe (2021), Onset altitudes of co-seismic ionospheric disturbances determined by multiple distributions of GNSS TEC after the foreshock of the 2011 Tohoku Earthquake on March 9, 2011. Earth and Space Science, 8, e2020EA001217, https://doi.org/10.1029/2020EA001217
3. Kamogawa, Masashi, Yoshiaki Orihara, Chiaki Tsurudome, Yuto Tomida, Tatsuya Kanaya, Daiki Ikeda, Aditya Riadi Gusman, Yoshihiro Kakinami, Jann-Yenq Liu, Atsushi Toyoda (2016), A possible space-based tsunami early warning system using observations of the tsunami ionospheric hole, Scientific Reports, 6, 37989, doi: 10.1038/srep37989.
4. Kakinami, Y., M. Kamogawa, Y. Tanioka, S. Watanabe, A. Gusman, J. Y. Liu, Y. Watanabe, and T. Mogi (2012), Tsunamigenic ionospheric hole, Geophysical Research Letters, 39, L00G27, doi:10.1029/2011GL050159.
自ら興味ある研究テーマを設定し,失敗を恐れず,自ら試行錯誤しながらコツコツ研究を進める忍耐力と積極性を求めます.できると判断すれば外部の人との連絡も率先してやってもらいます.研究成果を学会等で発表することを求めます.